君の名は。感想@小説、あらすじ、ネタバレも少しあり。
映画「君の名は。」が大ヒットしているというニュースを見た。
新海誠という名前は聞いたことがあるような、ないような、
だけど、秒速5センチメートルというフレーズは聞いたことがあった。
そこまで興味があったわけではないが、
Twitterを見ていてもこの話題がよく出てくる。
というわけで、ちょっと食指を伸ばしてみた。
正直、ストーリーはよくあるパターンだと思う。
自分が何かと入れ替わるというのは、
物語の古典的な展開方法だ。
カフカの変身もその類の本として有名だろう。
謎(違和感)から入り、
その後、2人の世界を行き来することで、
あぁ、入れ替わったんだなという実感を持つ。
始まりはコミカルな雰囲気で、
お互いにその不思議な体験をおもしろおかしく楽しんでいる。
ところがある日、その入れ替わりは終わる。
なぜだ?
そこから物語は急展開する。
違和感、伏線を回収していく。
急激に物語に引き込まれていく。
どうなってしまうんだ?
気になってページを進めてしまう。
この物語はボーイミーツガールでもあった。
そして、タイトルの意味を知る。
「君の名は。」
新海誠という男は、そういう作風らしい。
それは後で知ったことである。
初めて彼の作品を読んだわけであるが、
なんだか懐かしい気持ちになった。
少年、少女の日常生活・・
友情、恋、家族、
いろいろなものがそこにはあるが、
思春期特有の世界への感じ方、
情景への感じ方、
自分もこんな風に感じていたのではないかな?
なんとなくそう思った。
自分は文章を書くということには、
必ず意味があると思っている。
意味とは、伝えたいことがあるということだ。
もちろん、小説もそれに含まれる。
新海誠も、この小説を通して何か伝えたいことがあるはずだ。
彼は本来、この小説を書く気はなかったようである。
アニメーション(映画)を通して、
自分の伝えたいことを表現したい、
そして、それが最高の形であると思っていたようだ。
確かに、自分の思いを伝えるのに文章である必要はない。
人によって、その手法は様々である。
絵、マンガ、歌、演奏、ダンス・・
しかし、実際には彼はこの小説を書き上げた。
しかも、映画の発表よりも前に発売された。
その理由はあとがきに書かれてある。
自分はこれに心を打たれた。
映画とは華やかである。
個人の能力を超えた、みんなの力の結晶である。
しかし、そんな華やかさとはかけ離れた、
「切実さ」をもって描かれなければならないことがある。
それは、瀧と三葉のように、
人生に対して「もがく」と決めた人の生き様である。
彼は、そういう人たちを応援したいのだ。
そのために、この小説を書いた。
映画と小説では、
物語の描き方が必然と異なってくる。
伝えたいこともひとつではないであろう。
映画においては、
RADWIMPSの音楽が重要な役割を担っているらしい。
自分は世代?でもあるので、
RADの歌、音楽、世界観が好きである。
愛している人、好きな君に、どう表現すれば伝わるか、
その詩に魅せられるものがある。
この作品は、
新海誠とRADのコラボレーションで生まれた
新海誠の史上最高傑作である、
そうプロデューサーの解説には書いてある。
自分はこの一文で、とても映画が見たくなった。